ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2016「TIME-SPACE-EXISTANCE」展

2016.05.28

レポーター:日本建築設計学会事務局

30カ国のパビリオンが立ち並ぶGiardini公園とArsenale(国立造船所)の2会場を中心としてヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2016が、5月28日に開幕した。11月までの半年にも及ぶ会期中、メイン会場(ジャルディーニ公園、アルセナーレ)のみならず、ヴェネチア島内の各所で様々な展示が行われている。ビエンナーレ主催者より、“Collateral Events”と認定されたそれらは、19を数える。GAAF(Grobal Art Affairs Foundation)が主催する「TIME-SPACE-EXISTANCE」展もその一つである。

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同展は、「時間」「空間」「存在」という本質的でありながら、幅広く自由に解釈されうるテーマ設定の元で、世界中から集められた100にも及ぶ出展者が、2つのパラッツォを中心として、ところ狭しと展示を行う。メイン会場がいずれも島の外れに位置し、住民の生活や観光の中心からも距離を置いているのに対し、本展の会場は橋上の店舗で一日中にぎやかなリアルト橋からもほど近い。オープニングパーティーともなれば、振る舞われるワインを目当ての地元住民や観光客が溢れんばかりに集まる。

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メイン会場には出展していない(会場ももたない)フィリピン館が収容されているほか、ピーター・アイゼンマンや槇文彦のような著名建築家がそつのない展示を出している横で、無名の若手が小さなスケールの作品を意気揚々と発表していることも少なくない。建築家に限らず写真家の出展も数多く見られることも、特徴の一つだと言えるだろう。まさに玉石混交といった様相である。

その中で、ADAN(日本建築設計学会)は、 ”There and Now :the Japanese Housing Scene”と題した展示を行っている。これは簡単に言えば、10組の出展者による10の住宅展である。雑然とした会場の中の一室で、シンプルかつ直感的にコンセプトを伝えるため、言語的な説明を廃し、3つのスケール(1 :20、1 :100、1 :500)に合わせてつくられた30の模型を展示する。さらに、今回の企画のために新たに取材され、共通の視点をもって暮らしの様子を写し出す映像が流される。それら2つの要素を中心に、どの住宅作品とも直接関係をもたないが、「住宅から都市へ」をテーマとして制作された大竹央祐の写真が、すべての作品の背景にある日本の都市的風景にオーバーラップするという構成になっている。

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本展示の様子は、下記のリンクから、ウォークスルーでも見ることができる。

【Palazzo Bembo 1st floor】
https://my.matterport.com/show/?m=JmbTkuDcfi1