第1回日本建築設計学会賞(2016)

大賞
石切の住居
作品名:石切の住居
設計者:島田陽
photo:(左)Yosuke Ohtake、(右)新建築社
大阪の市街地の眺望が眼下に広がる生駒山の中腹の、1930年代に開発された傾斜地に建つ。80年の時を経て数世代の住宅が入り混じった住宅地で、くすんだコンクリートの壁、その上に載る黒い家型、半透明の片流れ屋根、背の高いフラットな白い屋根とその下に銀色の箱といった、様々な世代の建物を想起させるボキャブラリーによって建築が組み立てられ、その間のスペースに居場所がつくり出された。単体の敷地を超えて、この住宅地自体を魅力的に再発見しようとする試み。

 

裏庭の家
作品名:裏庭の家
設計者:松岡聡+田村裕希
photo:Yosuke Ohtake
起伏のある自然と幹線交通、日立特有の工場と住宅地が混じりあうエリアに建つ住宅。近隣で最大の駐車場に三方を囲まれた、15坪ほどの小さな裏庭を敷地として、扇形の階段と積み上げられた矩形の居室がつなぎ合わされ、それがそのまま外形をかたちづくっている。大きな段板と奥にずらされた蹴込板によって、階段室全体が吹抜けのように緩やかに生活空間をつなぐだけでなく、階段の変化するカーブが、日常の生活のリズムやふるまいを多様なものにする。

 

四条木製ビル/第15長谷ビル
作品名:四条木製ビル/第15長谷ビル
設計者:河井敏明(共同設計:大建設計)
photo:Yosuke Ohtake
中高層ビルが建ち並ぶ京都の烏丸通りに面したオフィスビル。外壁に木を使うことで、他の材料を使うよりも二酸化炭素の排出を減少、日本の森林に対する健全なメンテナンスの仕組みを提案するとともに、現代日本における中高層の町並みに対して新しい提案をしている。内部の小さな吹抜けは照明や空調等のエネルギーを減らすと同時に、ビル内で人々の出会いをつくる、都市におけるインキュベーション機能を担う「立体路地」としても働く。

 

西原の壁
作品名:西原の壁
設計者:桑原賢典
photo: Yosuke Ohtake
両端を道路に挟まれた幅3mの狭小敷地に建つ住宅。限られたスペースの中で、プライベートな室内が外部環境と関わりをもちつつ、豊かな内部空間を確保する様々な試みがなされている。東西の壁に散らばって穿たれた異形窓は、都市との間に独特の陰影と距離感を生み出すだけでなく、南北の開口と連動し、閉塞感のない室内を実現する。またスキップフロアの断面構成は、空を仰ぐ光庭とともに空間的な広がりを感じさせる。

 

カトリック鈴鹿教会
作品名:カトリック鈴鹿教会
設計者:竹口健太郎+山本麻子
photo: Yosuke Ohtake
鈴鹿市に建つカトリックの教会。郊外の雑多な環境に埋没しないよう、山並みのように緩やかに連なる大きな屋根のもと、聖堂、信徒会館、司祭館といったスケールも用途も異なる諸室がまとめられている。家型の屋根を段状に連ねていくことで、内部には教会らしい落ち着き、豊かな自然光、必要な天井高さが確保された。1階は駐車場とするためピロティとなったロードサイドならではの構成。伝統的なプログラムと現代的な要請とが融合された新しい教会のかたちである。

 

日本キリスト教団東戸塚教会
作品名:日本キリスト教団東戸塚教会
設計者:平田晃久
photo:Yosuke Ohtake
横浜市の東戸塚に建つ小さなプロテスタントの教会である。24枚のプレートが隙間をあけながら組み合わせた雲のような屋根は、周囲から浮き立った印象的な外観をつくるとともに、どことなく家のようでもある。この白い屋根の下に、木の素材感を生かした様々なスケールの場所が展開している。屋根と周囲の緑や塀に守られつつも、開放的に街へと開かれた場所として、礼拝や祝典だけでなく、街の人々も巻き込んだ様々な集まりが営まれる。