Emerging Trajectories: アンドリュー・コバック、ヒメネス・ライ、ジョアンナ・グラント来日講演会【5/11(大阪)、5/12(東京)】

2017.05.01

投稿者:堀口徹

『a+u』5月号「米国の若手建築家」特集で取り上げた、米国建築界で新たな潮流を生み出しつつあるアンドリュー・コバック、ビューロー・スペクタキュラー(Bureau Spectacular)のヒメネス・ライとジョアンナ・グラントの3名が2017年5月に来日。東京と大阪でレクチャーを行います。
彼らの活動は、様々な展覧会で取り上げられるなど、米国建築界において大きな注目を集めてはじめています。コバックは自身が運営するウェブサイト「Archive of Affinities」(個人的嗜好のアーカイヴ、archiveofaffinities.tumblr.com)に、日頃から収集している様々な建築のエレメントをアップロードし、膨大なアーカイブを構築しています。そして、その中のエレメントを組み合わせることによって、新しい建築を生み出す実験をおこなっています。ビューロー・スペクタキュラーは、ライの建築思想を表現した漫画作品や、即興でおこなうフリーハンド・ドローイングが特徴です。それらの漫画やドローイングの中に現れる多種多様な要素は、ライ自身の「手グセ」によって生み出されたものや、過去のさまざまな建築作品の一部分を自分の感性の中に取り込んだものです。そして彼らの設計する建築も、そのような要素が家具の大きさに立体化されて組み合わされたようなスタイルです。
彼らのデザイン手法には「新コラージュ主義」とも呼べる興味深い共通性がみられます。コラージュは、ポストモダニズムの時代に多くの建築家が用いていた技法ですが、彼らはそれを独自の仕方で更新を試みています。そしてこの試みは、現在のアメリカ建築界の若手建築家達のあいだで一つの大きな動きとなっています。
彼らは日本にも深い関係をもっています。コバックは、かつて東京の建築事務所勤務しており、日本の現代建築に深い造詣があります。ライは幼少期から日本の漫画に魅了され、彼のドローイングスタイルは、その影響を大きく受けています。またグラントは、日本のポップカルチャーのキッチュとも呼べる美学から深い影響を受け、それを新しい建築のあり方を追求する足がかりにしています。
日本とアメリカの建築界の間には、きわめて緊密な関係が存在し、これまで互いの建築文化の発展に強い影響を与えてきました。しかし近年、日本からアメリカに留学して建築を学ぶ学生の数は減少し、また日本国内において、アメリカの建築界でどのような議論がおこなわれているかといった情報もあまり紹介されない現状にあります。今回の企画は、日本の建築・アート関係者にアメリカ建築の最新の潮流と思想を紹介することで、両国の建築界の間での議論を活性化させることを目指しています。

大阪レクチャー

開催日:5月11日
時間:18:00〜20:00(時間が変更されました!
会場:近畿大学 Academic Theater「実学ホール」(大阪府東大阪市小若江3-4-1 近畿大学東大阪キャンパス)
コーディネーター:堀口徹(近畿大学建築学部准教授)
主催:近畿大学建築学部
共催:Japanese Junction展実行委員会 株式会社エー・アンド・ユー
助成:財団法人ユニオン造形文化財団 アメリカ合衆国大使館
問い合わせ先:tohru@arch.kindai.ac.jp(堀口)
入場無料、予約不要

東京レクチャー

開催日:5月12日
時間:18:30〜20:30
会場:Art & Science Gallery Lab AXIOM(東京都港区六本木5-9-20)
コーディネーター:平野利樹(Japanese Junctionディレクター)
主催:Japanese Junction展実行委員会 株式会社エー・アンド・ユー
助成:財団法人ユニオン造形文化財団 アメリカ合衆国大使館
協力:Art & Science Gallery Lab AXIOM
問い合わせ先:info@japanesejunction.jp(Japanese Junction展実行委員会)
入場無料、予約不要